朝食を抜くと血糖値が上昇する
台風が次々襲来していますが、おかわりなくお過ごしでしょうか。
最近、イスラエル・テルアビブ大学の研究チームが「朝食を食べない習慣は昼食・夕食後の血糖値を上昇させやすく、また肥満や心臓病もおこしやすい」と報告しています。
研究内容は肥満の2型糖尿病患者さん22名(平均年齢57歳、BMI28.2、HbA1c7.7%)に1日目は3食とも摂取、2日目は朝食を抜き昼食と夕食だけ食べてもらいました。その結果、朝食抜きの日の血糖値は昼食後268mg/dlで、夕食後は298mg/dlでした。これに対して、朝食を食べたときの昼食および夕食後の血糖値は、それぞれ192mg/dl、215mg/dlで、血糖値の上昇が抑えられていました。
朝食を抜くとお昼以降の食後の血糖値が上昇しやすい理由として、インスリンを分泌する膵臓の細胞が長時間の空腹(この場合は前日の夕食から翌日の昼食まで)の間にインスリンを分泌するという大事な役目を忘れてしまうことが考えられています。また、空腹時間が長いと血糖値が下がるため、脂肪を分解して糖分の代わりにエネルギーにしようとします。そのときに遊離脂肪酸が増加するためインスリンの働きが悪くなるとも考えられています。
私が外来で患者さんとお話していても、朝食抜きの患者さんは血糖値が落ち着きにくい方が多い傾向が見られます。昔からの習慣だからとか、忙しいからとか、いろいろ理由はあると思いますが、できるだけ朝食を少しずつでも食べる習慣に変えて頂けたらと思います。
(文責:渡辺淳)