食事療法と運動

食事療法

糖尿病は症状がないからと放置すると様々な合併症に苦しめられます。そうならないためにまず食事療法を身につけましょう。カロリーとくに砂糖と脂肪分は減らしましょう。野菜を努めて多く食べてください。

一日の摂取カロリーは身長の数値を参考にして決めていきます。
身長(メートルに換算)の二乗 X 22 =理想体重(kg)この理想体重に25~30を乗じて一日のカロリー量の目安とします。これはあくまで目安ですので、患者さんの年齢や運動量(仕事でどれくらい体を使うか)などで加減します。

計算例)たとえば身長160cmの方はメートルでは1.6ですから、1.6x1.6x22=約56kgが理想体重になります。 56kg x 25~30=1,400~1,600キロカロリー。これが1日に摂取できるカロリーの目安です。

管理栄養士はこのカロリーの範囲内での日々の献立の工夫、注意点について助言、指導をおこないます。
なお、血圧が高めの方には塩分制限、腎臓の働きが低下している場合にはたんぱく質の摂り過ぎについても注意が必要です。

食事療法をより良く理解できるように、日本糖尿病学会より以下の書籍が発行されています。 糖尿病食事療法のための食品交換表 第7版  【出版社:文光堂 税抜き定価:900円】

そのほか、参考にしていただきたい書籍は以下のとおりです。参考になさってください。 糖尿病食事療法のための食品交換表活用編 献立例とその応用 【出版社:文光堂 税抜き定価:800円】 糖尿病治療の手びき【出版社:南江堂 税抜き定価:650円】

運動療法

現代人は便利な生活(自動車やバス、電車の使用、エレベーター・エスカレーターの利用など)に慣れており、極端に運動不足になっています。そのため、食事から得たカロリー(エネルギー)を消費できず、余った分は脂肪となりますが、おもに内臓脂肪として体に蓄積されてしまいます。内臓脂肪からは血糖値を上昇させる物質が放出され糖尿病状態になってしまいます。

体内の脂肪1kgがたくわえているエネルギー量はほぼ7,000キロカロリーあります。
1時間の歩行(速歩)で約200キロカロリー燃やせますので、脂肪1kgを燃やすのに7,000÷200=35時間の歩行が必要ですが、1日1時間歩いても約1ヶ月かかる計算です。その間に食べ過ぎにならないように注意しましょう。

運動の目的はできるかぎり全身の筋肉を動かすことで、血糖値を下げることと筋肉の量を増やすことにあります。筋肉の量が増えるとカロリーを消費しやすく、太りにくい体質に変わっていきます。

今日から少しずつ歩いてみましょう。膝や腰が痛い場合はプールで歩かれると水の浮力が助けになり楽に歩けます。お買い物のとき、少し歩いてみる。仕事でもプライベートでも、用事があれば自分から出向く。自宅では、お茶入れ、食器下げ、電話取り、新聞・郵便物取りなど、何でも自分で動く 等々、日々のわずかな動作を少しずつ増やせばカロリー消費は増えると言われています。いろいろ工夫されては如何でしょうか。