肥満は薬物依存症と同じ?
先週は鹿児島市で開催された日本糖尿病学会九州地方会に参加のためお休みをいただいておりました。学会では新規血糖降下剤SGLT2阻害薬の注意すべき副作用について本施設より報告するとともに、まれな病気ではありますが「ミトコンドリア糖尿病」などの症例報告発表セッションの座長も務めてまいりました。
講演関連では肥満症の発症メカニズムについて学んできました。糖分や麻薬を摂取すると「脳内報酬系」が活性化します。具体的にはこれらの物質の摂取でドーパミンという物質が放出され、脳内に心地よい感情をもたらすと考えられています。逆にこれらの物質が不足すると、ドーパミンが減り、不安、イライラなど不快な気分になります。また、糖質はβエンドルフィンという「脳内麻薬」を増やすことも分かっています。
じつは運動や筋トレも脳内エンドルフィンやセロトニン(うつ気分を解消させます)を増加させることがわかっています。運動をすると幸せな気分になるのはそのためです。また、運動によるドーパミンの増加は空腹感を抑えることも知られています。
積極的に運動する、体を動かすことで空腹感が抑えられ、食事によらない満足感、幸福感を得ることができ、肥満も少しずつ解消すると考えられます。運動は必ずしも強い運動である必要はありません。こまめに体を動かすことで十分と考えられています。今日から、少しずつ体を動かしてみては如何でしょうか。
(文責:渡辺淳)