グルテンフリー食は安全か?

最近、読んだ論文でグルテンを減らした食事が糖尿病の発症を増やすのではないか、というものがあったので、少し考えてみたいと思います。グルテンは小麦に含まれるタンパク質で、パン、パスタなどに多く含まれます。グルテンを除去した食事(グルテンフリー食)は、テニスプレイヤーのノバク・ジョコビッチ選手やハリウッドスターが実践して体調が改善したとかで話題になっています。問題はグルテンフリー食は誰にでも健康維持に有用なのか?逆に害はないのか?などが分かってないということです。

この論文の結論は3つの独立した研究から導き出された結果なのですが、要約すると、約20万人の医療従事者の食事記録からグルテン摂取量と糖尿病発症の確率を計算したところ、1日あたりのグルテン摂取量が6g未満になると、2型糖尿病になる可能性が増えるというものです。逆にグルテンをたくさん食べたから糖尿病にならないということではありませんでした。

この研究結果ではグルテン摂取量が少ないと糖尿病になりやすいということです。グルテンが糖分の吸収を遅らせたりしてくれるのかもしれませんが、真相は不明です。「セリアック病」などにはグルテンフリー食が治療に用いられますが、そうではない大部分の人には意味がない、もしかしたら有害なことも起こりうる食事なのかもしれません。

参考文献)Diabetologia2018.8.3 doi:10.1007/s00125-018-4697-9