痛くない血糖測定
先日、日本糖尿病学会年次学術集会(長い名前ですが要するに学会です)に参加して聴講してきた情報をお知らせします。糖尿病患者さんは現在のご自分の血糖値がどれくらいか、とても気になりますよね。インスリン自己注射されている患者さんには、保険の範囲內で医療機関から血糖測定器と穿刺器具をお渡しして「これで血糖値をときどき測ってください」とお話しています。でも血糖値の測定には血を出さないといけません。多くの患者さんは指先を穿刺器具の先端に付けた針で突いて血を出して血糖測定されています。器用な方だとご自分の耳たぶを鏡に映しながら上手に採血して測定されています。どちらも出血するので痛みをともないます。一回だけならともかく1日に何回も針を刺す必要がある場合はとても大変です。血糖値を患者さんが自宅で測れるようになって何十年も経ちますが、痛くない方法はないものか世界中の医学者や技術者が考えてきましたが上手く行きませんでした。
でも、とうとう日本の会社が器械に手の指をかざすだけで血糖値を測定できる方法を開発したのです。指先には毛細血管がたくさんあるのは皆さんご存知と思います。指先を太陽の方に向けて透かしてみると指先は赤く見えます。これは指先に毛細血管がたくさんあるため多くの血液が流れているからです。ここに特殊なレーザー光をあてると血液中のブドウ糖濃度に応じてレーザー光が吸収され、その吸収度合を血糖値に換算することができます。現時点で制作された器具はまだ大きめ(といっても、パソコンで使うマウスをやや大型化した程度)なので、もう少し小さくし量産化して価格も抑えたいというお話でした。
おそらくあと2~3年で一般的に利用できることになりそうという見通しですので、その日を楽しみに待ちたいと思います。血を流さずに血糖値が測れたら、次は針なし(飲む?)インスリンも期待したいですね。