温泉と糖尿病

温泉は、病気や怪我の治療などに長年利⽤されています。⽇本には多くの種類の泉質があって各々の異なった効能が知られています。最近、九州大学の研究により温泉入浴によって腸内細菌に良い影響が見られることが発表されました。人間の腸内には100兆個もの多種の腸内細菌が生息していて免疫や肥満、インスリンの効き目などにも関係していることがわかっています。今回の研究では健康人136名に別府温泉の5つの異なる泉質(単純泉、塩化物泉、炭酸⽔素塩泉、硫⻩泉)に一日の⼊浴時間20分以上で7⽇間連続して⼊浴してもらっています。その結果、とくに炭酸⽔素塩泉ではビフィズス菌の一種が大きく増加しました。他の泉質でも菌種は違いますが腸内細菌の変化が見られました。
別の研究では、温泉入浴によって血糖値や体重の低下が見られたことが報告されています。なぜ温泉に入るだけで、そのような効果があるのか明確にはなっていませんが、たとえば温泉入浴による温熱効果でカロリー消費が増加するとか、筋肉での血流が改善することでブドウ糖の取り込みが改善する、あるいは入浴によるリラックス効果なども血糖値の改善に結びつくのではないかと考えられます。とくに炭酸⽔素塩泉は皮膚を含めた体全体の血流改善が以前から知られていますので、今回の研究結果には頷けるものがあります。
10日間連続で温泉に浸かるのは時間的、経済的にも難しいですが、日々の入浴でも温熱効果で一定の効果はあるかもしれません。全身の血流改善を試してみるのも悪くないと思います。ただ長時間熱いお湯に入ると脱水になりやすいので十分に注意しましょう。