バイオニック膵臓

先日、米国食品医薬品局(FDA)は、インスリン必要量を自動的に判断できるインスリンポンプと持続皮下グルコースモニター(CGM)を組合せた新しいシステムを、1型糖尿病患者向けとして承認しました。CGMで得られた皮下グルコース値をもとに適切なインスリン量を投与することができます。1型糖尿病患者さんの場合、食事前に「カーボカウント」という考え方により、今から食べる食事に含まれる炭水化物量を推測して必要な食前インスリン量を決定する場合があります。カーボカウントは慣れないと計算が大変なのですが、このシステムでは炭水化物量は多め、普通、少なめという大まかなパラメータの入力で済ませることができ、複雑な計算をする負担が軽減できます。そして投与したインスリン量と実際の血糖変動の情報を学習することでより適切なインスリン投与量の予測が可能になります。このシステムを「バイオニック膵臓」と呼んでいます。

1日に何回も注射しなければならない負担を軽減できるインスリンポンプ、インスリン投与量を予測できる装置など、糖尿病治療の進歩は今後も続いていくことでしょう。