インスリンの飲み薬

インスリンの飲み薬があれば良いのに、治療がもっと楽になるのにと思いますよね。インスリンはもともと人間の体内に存在していて安全に血糖値を下げてくれる物質ですが、唯一の難点は注射しか投与方法がないということです。静脈注射のようにこの1点に針を刺さなければならない…というような難しさはなく、お腹の皮膚をちょっとつまんで小さな針で刺すだけ(痛みはほとんどありません)なのですが、注射には違いないので患者さんは敬遠されます。できたら注射はしたくない、毎日、皮膚を消毒して針を刺してなんて面倒なことはしたくないという方がほとんどだと思います。

そんな状況に少しだけ希望が見えてきました。飲むインスリン(経口インスリン)ができるかもしれないという情報です。じつは未だラット(ねずみ)での実験段階ですが、飲むというよりは口の中に含む錠剤という表現が正しいようです。インスリンの錠剤を口の中(頬の内側)の粘膜に置いて少しずつ溶かすようになっています。錠剤が溶けて約30分でインスリンは体内、正確には肝臓にほぼ全て取り込まれ効果を発揮するそうですので、とくに毎回の食事毎にインスリン注射している患者さんには朗報になると思います。

現在は動物実験の段階なのでまだまだ時間はかかりそうですが経口インスリンの実現を期待して、いまはそれぞれの治療に励みましょう。