インクレチン注射薬の副作用:味覚などの異常
先日もインクレチン注射薬(GLP1受容体作動薬)の副作用についてお知らせしましたが、最近この薬剤を使用中の患者さんから「味覚がおかしくなった」という訴えをされることが目立つようになってきました。
この薬剤を投与中のすべての患者さんではなく、数名の患者さんから「口の中が苦くなった」とか「何を食べても少しだが塩辛く感じる」など様々な形の訴えがありました。
実際、海外のデータですがGLP-1受容体作動薬を処方された43万8,474人(平均年齢57.7歳)での集計結果が公表されています。嗅覚も含めた味覚障害の発生率は、対照群(この薬剤を使用しなかった人たち)の0.22%に対し、GLP-1受容体作動薬投与群では0.37%とやや増加しており、嗅覚/味覚障害の発生リスクは、対照群に比べGLP-1受容体作動薬群で48%高い、という結果でした。
味覚は舌にある味蕾(みらい)という細胞の集まりで感じるのですが、この細胞にはGLP1受容体が存在することが分かっているので、GLP1受容体作動薬を投与した時に味蕾細胞に何らかの変化が起こっている可能性があると言われています。
もうひとつの可能性としては、GLP1受容体作動薬の作用により食欲や甘みへの欲求に影響があることが分かっていますので、嗜好の変化が味覚がおかしいと感じる理由ではないかとも言われています。
いずれにせよ味覚に大きな影響がなく食欲が抑えられて血糖コントロールが改善するのがいちばん良いので、そのような副作用が少ないお薬の登場が待たれるところです。
